article icon COMNEXT2024展示内容の紹介

はじめに

こんにちは、アイベックステクノロジー営業部の榎本です。 本記事では、2024年6月26日~28日に東京ビッグサイトで開催のCOMNEXTにおける、当社の出展内容についてご紹介いたします。

展示会概要

展示会名COMNEXT 第2回[次世代]通信技術&ソリューション展
会期2024年6月26日(水)~28日(金)10:00~18:00(最終日は17時終了)
開催場所 東京ビッグサイト 南展示棟(当社ブース番号 9-13)
セミナー ローカル5Gと超低遅延映像伝送 6月26日(水)13:30~14:30

セミナーでは、映像伝送の技術課題、超低遅延映像伝送の利用分野、ローカル5Gと超低遅延映像伝送の使用事例、4K8K映像伝送事例等についてご紹介いたします。

展示内容

展示内容は以下の5つを予定しております。

  1. 5G・4K・AI機能一体型 超低遅延カメラ(製品)
  2. HLDコーデック 新機能紹介(製品)
  3. プライバシー保護を目的としたリアルタイムマスク機能(システム)
  4. 映像ストリーム最適化~クラウドコスト削減のご提案~(システム)
  5. カメラ+AIで障害物を検知&回避(システム)

それぞれの展示内容については、各節にて詳しくご紹介いたします。

5G・4K・AI機能一体型超低遅延カメラ

現在、鋭意開発中のプロトタイプ製品を初展示いたします。 製品名はHLD-MC1000、5G内蔵・4K超低遅延エンコーダ・AI機能一体型のカメラです。

5G通信による4K画質での超低遅延映像伝送を行うためには、5G機器、4Kカメラ、超低遅延エンコーダが必要です。導入には、設置場所の制約、金額のハードル、システムインテグレートの煩雑さ、カメラによる遅延など、多くの課題があります。 これらの問題を解決すべく、当社ではすべての機能が一体となった超低遅延カメラの開発に着手いたしました。 ユースケースとしては、駅のプラットフォーム監視や、建設現場等での重機の遠隔操作等を想定しております。 リリースは2025年3月頃を予定。 詳しくはテレコミュニケーション6月号(WEB記事はこちら)にて掲載しておりますので、どうぞご覧くださいませ。

HLD製品 新機能のご紹介

当社の主力製品である、超低遅延コーデックHLDシリーズに新しく「遅延測定機能」が追加されました。

HLDシリーズ(左からHLD-300C,HLD-5000E,HLD-5000D)
HLDシリーズ(左からHLD-300C,HLD-5000E,HLD-5000D)

回線部分を含むコーデック間の遅延は、タイムコードの映像を用いて、元映像と伝送後の映像を並べて撮影し、差分を計測する方法が一般的です。その場合、モニタのフレームレートが基準となるため、正確な測定ができないことや、送信装置と受信装置が離れている場合には測定ができないという課題がありました。 HLDシリーズの「遅延測定機能」では、コーデック装置に独自の計測機能を持たせることで、精度を高く、かつ離れた場所同士での計測が可能となりました。 さらに、遅延時間はOSD(On-Screen Display)にてリアルタイム表示できるよう開発を進めております。OSD機能を使用すれば、遠隔操作において、どの程度の遅延までであれば問題なく操作できるか等、実際に画面を見ながら検証する際にも有効です。また、計測されたデータは、映像伝送状況を可視化するツールHLD Watcherによりグラフ化し、保存することも可能です。 会場では遅延測定機能デモの他にも、今後HLDシリーズにてリリース予定の機能についてもご紹介いたします。

展示予定製品の紹介ページはこちら:HLD-300C HLD-5000E HLD-5000D

プライバシー保護を目的としたリアルタイムマスク機能

新たな取り組みのご紹介として、当社がNTTデータ様と開発しているUnlockable Privacy Mask Systemのデモを展示いたします。

プライバシー保護が要求される状況において、映像中から物体(人やモノ)ごとに、マスク(モザイク)をかけ、閲覧を許可された組織のみがマスクを解除することができる仕組みを開発いたしました。本システムはNTT Research様由来の属性ベース暗号(ABE:Attribute-Based Encryption)技術を用いることで、マスク解除方法の秘匿化を実現するとともに、異なるプライバシー保護対象ごとのマスク解除を簡単に管理することが可能となっております。

属性ベース暗号(ABE:Attribute-Based Encryption)技術
属性ベース暗号(ABE:Attribute-Based Encryption)技術

想定されるユースケースとしては、スマートシティの街カメラの配信時に、映像中の人の顔や車のナンバープレートをマスクすることで、一般公開時はプライバシー保護を行い、非常時においてマスクの解除鍵を所有している団体が、個人を特定するためにプライバシー情報を閲覧することが可能です。

映像ストリーム技術
映像ストリーム技術

本システムは、映像ストリームに暗号化されたマスク解除情報を、メタデータとして挿入しています。また暗号化には、前述した属性ベース暗号を用いるため、1つの映像ストリームでユーザごとに見たい映像を選択して閲覧することが可能になります。これにより、保存しておく映像ストリームは1つで済むため、ストレージの節約にもなります。 また、さらに注目していただきたい点は、レイテンシの短さです。独自開発した処理パイプラインにより、低レイテンシを実現しました。加えてカメラ入力にも対応可能な高スループットとなっています。

検出精度を向上させるため、映像源となるカメラにもこだわり、TierⅣ様にもご協力いただきC1カメラをデモにて使用しております。 会場にてぜひ実際にご覧ください。

映像ストリーム最適化によるクラウドコスト削減

AIによる映像圧縮率の最適化を行い、画質を担保したまま、データ容量を大幅に削減(3~10分の1)することで、クラウドのストレージコスト削減を可能にします。 元映像のクオリティは、画質評価指標の1つであるVMAFで計測し、担保いたします。 専用トランスコーダボードとしてAMD様のMA35Dを使用することにより、スループットを出しにくいAV1のようなフォーマットでも、リアルタイム処理が可能になりました。

カメラ+AIで障害物検知&回避

ロボットの自律走行では、障害物の検知および回避が必要不可欠です。 当社では、ロボットに搭載したカメラ映像をAI解析し、障害物がある場合に、ロボットの走行を停止させるシステムを試作・実験いたしました。(東京工業大学 吉瀬教授をはじめとする研究室の皆様にご協力頂きました。) ロボットからGPUサーバへカメラ映像を送信し、サーバ上でAI解析を行い、解析結果に基づいてロボットを発進または停止させます。 AIでは、障害物の検知と走行可否の判断を行い、障害物があるため走行不可能と判断した場合には、ネットワーク経由でロボットに走行停止の信号を送ります。

今後のロードマップとしては、今回GPUサーバ上で行った処理を、エッジ側で行うことで低レイテンシ化、AI専用チップを用いることで低消費電力化など、リソース最適化を行っていく取り組みを進めていきます。 ユースケースとしては、スマートファクトリーやスマート農業など、ロボットが周囲の環境変化に素早く対応して走行することが求められる場面での活用が期待できます。

おわりに

今回の展示では、アイベックステクノロジーがコーデック開発だけでなく、“映像”を軸とした様々なプロダクト、サービスの展開に注力していることを感じていただける内容となっております。

展示会場にて、皆様とお会いできますことを楽しみにしております。