FDF2026@CERN探訪記

FDFについて

スイスジュネーブにあるCERN(セルン)1で開催された3rd meeting the FPGA Developers Forum(以下、FDF)に参加してきました。アイベックステクノロジーは今回が初めての参加です。

当社からは営業(榎本)とエンジニア(松永)の2名で参加しました。 今回は榎本から、FDFの概要と、FDFが開催されたCERNでの生活についてご紹介いたします。後日、エンジニア視点での技術記事も投稿予定ですので、どうぞお楽しみに。

さて、FDFはFPGA開発者向けフォーラムであり、第三回を迎えた今回は、過去最大となる300人のほどの参加者が集まりました。26の発表、29のポスター発表、16のスポンサーが参加しました。参加者の構成は、7割がアカデミック(内半分がhigh-energy physicsを専攻)、3割が企業からの参加でした。 FDFは回を重ねるごとに参加者数や規模が増えていっており、注目のFPGAイベントになっています。

FDF2026で発表された主なテーマは

  • Open Source Tools
  • AI & FPGAs
  • High Speed Links & Timing

でした。

メイン会場はヒッグス粒子が発表された場所
メイン会場はヒッグス粒子が発表された場所

特にOpen Source Toolsについての発表が盛り上がっていました。当社も開発にオープンソースソフトウェアを活用しているため、非常に興味深く聞かせていただきました。

FDFのすごいところは、オンラインでのライブ配信、Youtubeへのアーカイブ動画アップロードなど、現地で参加できない人向けにも情報共有が充実していることです。アーカイブ動画には字幕(日本語はない)もつくので、リスニングが苦手な人にはありがたい仕組みです。ぜひこちらのページからチェックしてみてください。

今回のFDFでは、熊本大学 半導体・デジタル研究教育機構のHigh-throughput Systems Lab所属の田中 創さんが「FPGA間の高速シリアルインタコネクト技術(Kyokko)」について発表されました。

Kyokko2はAMD(旧Xilinx) Aurora 64B/66B プロトコルのオープンソース実装です。AMD FPGA と Altera(旧Intel) FPGA の両方で動作し、Aurora プロトコルの一般的な利用形態を幅広くカバーしています。 当社のIPAC-1000へも実装を予定されていると伺いました。今後が楽しみです。

なんと、田中さんがFDF史上初の日本人、かつ学生からの初発表でした。田中さん、発表おつかれさまでした!

次回のFDFは2027年5月26-28日開催だそうです。 次はIBEXからも複数テーマを発表できるよう準備して臨みたいと思います。

CERNのミュージアムは要予約(無料)
CERNのミュージアムは要予約(無料)
期間中にCERN構内施設ツアーでLEIR-LINAC2を見学
期間中にCERN構内施設ツアーでLEIR-LINAC2を見学

CERNでの生活

ここからは、初めてCERNへ滞在される方向けに、私が滞在中に感じたことを紹介します。

CERN周辺の移動

チケットの購入には「SBB Mobile」というアプリを使用しました。 ジュネーブ市内(Zone 10と呼ばれる)の公共交通機関を60分乗り放題チケットが購入できるので、Zone 10内であれば、乗り換え時にチケットを購入する必要はありません。

ただし、フランス側へ食事をしに行く場合には注意が必要です。CERNの西側はすぐにフランスなのですが、フランスへ入る場合は別料金が必要です。CERNのトラム乗り場にはチケット販売機がありますが、それ以外の駅はない場合があるので、SBB Mobileアプリがあると安心です。

CERNのマップアプリは必ずインストールしていこう

「MapCERN」というアプリを事前にインストールして現地へ行くことをお勧めします。 CERN構内は非常に広いです。建物には番号が割り振られており、集合場所などはこの番号が頼りです。

ちなみにCERN構内ではフリーWifiが使えるので、現地でのインストールも可能です。ゲストの場合は、トラムを降りて西に歩いていくと、車が出入りしている大きめのゲートがあり、門番の方に入場証とパスポートを提示して入場します。ゲストの場合は入り口が正面の1か所のみしか利用できません。

広大な敷地面積(ディズニーランドの1.5個分、東京ドームの17個分)
広大な敷地面積(ディズニーランドの1.5個分、東京ドームの17個分)

CERNホテル

今回私はCERNの構内にあるホテルに宿泊しました。複数の棟がありますが、メインの受付は39番で行います。39番の建物のなかには、キッチンが備え付けられており、ホテルのキーがあれば自由に出入りすることができます。冷蔵庫やケトル、電子レンジや食器類も使用できます。長期滞在者にはうれしいですね。

滞在期間中は30度近くまで気温があがり、日中は非常に暑かったです。CERNのホテルにはエアコンが付いていないため、日中はFDFの開催されている講義室か、レストランで涼をとっていました。朝晩は気温が下がりますが、ホテルの階数が上になってしまう寝苦しい夜を過ごすことに・・・。 シャワールームにはシャンプーとボディソープがありました。リンスはありません。ドライヤーは受付で借りる必要があります。受付の方はみなさんとても親切でした。

エアコンなし、風呂トイレ付のシングルルーム
エアコンなし、風呂トイレ付のシングルルーム

CERNでの食事

CERNの中にはレストランがあります。今回は501番の建物に入っているレストランを利用しました。レストランの食事が美味しかったことと、覚悟していたほど高額ではなかったので、食事は常にレストランで取りました。

ただし、たまに異常に高額なプレート(ハンバーガーで20€!)が存在しますので、ご注意ください。レストランではチーズやヨーグルト、ポテチやケーキやアイスなど、おやつ類も購入できます。何の気なしに買った棒状のチーズがおいしかったです、さすがスイス。

CERNレストランでの食事その1(チキンとポテトとビール※夜)
CERNレストランでの食事その1(チキンとポテトとビール※夜)
CERNレストランでの食事その2(量り売りのサラダ+トマトのショートパスタ)
CERNレストランでの食事その2(量り売りのサラダ+トマトのショートパスタ)
CERNレストランでの食事その3(茹で豚バルサミコソース添え)
CERNレストランでの食事その3(茹で豚バルサミコソース添え)

持参してよかったもの

今回持っていって良かったもの1位は「水筒」です。ウォーターサーバーは無料で使用できますし、冷たい水を飲みたい人は保冷できる水筒を持参することを強くお勧めします。また、必須ではないですが日差しが強いので、屋外を移動する際にサングラスがあると快適です。

気を付けたほうがよいこと

CERNの西側、フランスのSaint-Genis-Pouilly(サン・ジュニ・プイイ)の街の入り口に「Large Car Collider」と呼ばれる交差点があります。世界一の衝突を見ることができる交差点と言われています(ただし、素粒子ではなく車の衝突ですが・・・)。

この交差点はラウンドアバウト(環状交差点)で、2車線、一般道路と高速道路が入り混じり、歩行者の横断歩道もあります。交通量が多く、速度差も大きいため、非常に危険な交差点です。この交差点は北側にしか横断歩道がないのですが、無理に横断歩道のない南側を通ろうとする人がいるため、車に轢かれて亡くなってしまう悲惨な事故が多いようです。サン・ジュニ側への移動の際には、無理せずに公共交通機関やタクシーを利用しましょう。

私はバスで安全に通行しました
私はバスで安全に通行しました

まとめ

今回初めてFDF@CERNに参加し、世界中のFPGA開発者との交流を通じて、オープンソースツールや高速通信などの最新トレンドを肌で感じることができました。 来年はアイベックステクノロジーからも積極的に発表を行い、FDFコミュニティへ貢献していきたいと思います。

Footnotes

  1. 欧州原子核研究機構、スイスジュネーブとフランスとの国境にまたがる世界最大規模の素粒子物理学研究所

  2. Kyokko(極光) とは「Polar light(極地の光)」、すなわち日本語でいう「オーロラ」を意味しているようです

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